ピラティスは、呼吸に合わせて体幹を意識しながら、全身を正しくコントロールして動かす運動法です。研究では、慢性的な腰痛の改善、腹筋の持久力の向上、高齢者のバランスの改善などが報告されています。一方で、柔軟性の向上や減量については、研究で確かめられた範囲が限られています。
この記事では、ピラティスの特徴、研究で分かっている効果と分かっていないこと、ヨガとの違い、効果を感じるまでの頻度と期間の目安、向いていない人や注意点をまとめました。
ピラティスとは
ピラティスは、ドイツ生まれのジョセフ・H・ピラティスが20世紀前半に考案した運動法で、当初は「コントロロジー(Contrology)」と呼ばれていました(出典1、2)。マットの上で行う「マットピラティス」と、リフォーマーなどの専用の器具を使う「マシンピラティス」があります。
- 呼吸と動きを合わせる
- お腹や背中など、体の中心(体幹)を意識する
- 反動を使わず、ゆっくり正確に動かす
こうした点を意識しながら、寝る、座る、立つといったさまざまな姿勢でエクササイズを行います。
研究で分かっているピラティスの効果
ピラティスの効果は「姿勢がよくなる」「インナーマッスルが鍛えられる」などと紹介されることが多いですが、研究で確かめられている範囲は次のとおりです。複数の研究をまとめた系統的レビューの結果を紹介します。
| テーマ | 分かっていること | まだ分かっていないこと |
|---|---|---|
| 慢性的な腰痛 | 運動をしない場合などと比べて、痛みや日常の動作が改善したと報告されています(出典3)。 | ほかの運動より効果が高いかどうかは分かっていません。 |
| 体力(健康な成人) | 週2〜3回、5〜12週間行った研究で、腹筋の持久力が向上したと報告されています(出典4)。 | 柔軟性については、運動をしない群とのはっきりした差は確認されていません(出典4)。 |
| バランス(高齢者) | 運動をしない群と比べて、バランスが改善したと報告されています(出典5)。 | 転倒が減るかどうかを調べた研究は少なく、まだ十分ではありません。 |
姿勢や体幹について
ピラティスは体幹を意識して動くことを重視する運動のため、姿勢づくりや体幹の筋力を目的に取り入れる方が多くいます。研究では腹筋の持久力の向上が報告されていますが(出典4)、「姿勢がよくなる」と言い切れるほどの研究はまだ十分ではありません。体の変化には個人差があることを前提に、続けながら自分の体の感覚を確かめていくとよいでしょう。
ダイエットについて
運動の強さの目安を示す「身体活動のメッツ表」では、ピラティス全般は2.8メッツとされています(出典6)。厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」で目安とされている3メッツ以上の身体活動より低い強度です(出典7)。体脂肪を減らすことを主な目的にする場合は、ピラティスだけに頼らず、有酸素運動や食事の見直しと組み合わせることが大切です。
ピラティスとヨガの違い
| 項目 | ピラティス | ヨガ |
|---|---|---|
| 由来 | 20世紀前半、ジョセフ・H・ピラティスが考案(出典1) | 古代インドに由来 |
| 重視すること | 体幹を意識し、体を正しくコントロールして動かす | ポーズと呼吸、瞑想を通じて心と体を整える |
| 呼吸 | 動きに合わせて呼吸する | ゆったりした呼吸を重視する(流派により異なる) |
| 器具 | マットのほか、リフォーマーなどの専用の器具を使うこともある | 主にマット |
どちらがよいかは目的によって異なります。体幹を意識した動きを身につけたい方はピラティス、リラックスや心を落ち着ける時間を持ちたい方はヨガ、というように選び、両方を試してみるのもおすすめです。
効果を感じるまでの頻度と期間の目安
ピラティスの研究では、週2〜3回、数週間から数か月続けた例が多く見られます(出典4)。スタジオに通う場合は、まず週1回から始め、慣れてきたら回数を増やしたり、自宅でのマットピラティスを組み合わせたりすると続けやすくなります。
体の変化を感じるまでの期間には個人差があり、運動の量や生活習慣によっても変わります。回数や期間よりも、無理なく続けられるペースを優先しましょう。
GYYMのデータで見る、ピラティスが予約される曜日と時間帯
GYYMには、ピラティスのプログラムを1回から予約できる施設が150以上掲載されています。GYYMの予約データを見ると、ピラティスの予約はおよそ4割が土日に入っています。平日は、17時以降に始まるレッスンが平日分の半分ほどを占めています。
土日や平日の夜は予約が集中しやすいため、行きたい日時が決まっている場合は早めに予約しておくと安心です。
集計:GYYMの掲載施設と予約データ(2025年10月〜2026年9月の利用分、キャンセルを除く)。数値は概数です。
ピラティスが向いていない人と注意点
- 腰や首、肩などに痛みがある方、持病のある方は、事前に医師に相談してください。腰痛の改善を目的にする場合も、自己判断で始めずに医師に相談しましょう。
- 妊娠中・産後の方は、医師に相談のうえ、対応しているスタジオやインストラクターを選びましょう。
- 短い期間で大きく体重を落としたい方は、ピラティスだけでは目的に届きにくい場合があります。有酸素運動や食事の見直しと組み合わせてください。
- レッスン中に痛みや違和感が出た場合は、無理をせずインストラクターに伝えてください。
ピラティスのレッスンでは、「肋骨を締める」「背骨を1つずつマットにつける」など、普段あまりしない動きがたくさん出てきます。はじめは感覚をつかむのに苦労するかもしれませんが、こうした細かい動きの積み重ねが体の変化につながります。あきらめずにチャレンジしてみてください。
ピラティスの効果に関するよくある質問
ピラティスは何か月で効果が出ますか?
研究では、週2〜3回、5〜12週間続けた例で腹筋の持久力の向上が報告されています(出典4)。ただし、変化の感じ方には個人差があります。まずは週1〜2回のペースで続け、体の感覚や記録で変化を確かめていきましょう。
月に何回くらい通えば効果がありますか?
研究で多く見られるのは週2〜3回です(出典4)。通う回数を増やすのが難しい場合は、スタジオに週1回通い、自宅で短い時間のマットピラティスを組み合わせる方法もあります。
ジムの筋トレとピラティスは、どちらがよいですか?
目的によって異なります。筋肉量を増やしたい場合は、重さを使う筋トレが向いています。体幹を意識した動き方を身につけたい場合は、ピラティスが向いています。厚生労働省のガイドでは、成人に週2〜3日の筋力トレーニングが勧められているため(出典8)、両方を組み合わせるのも一つの方法です。
まとめ
ピラティスは、体幹を意識しながら全身をコントロールして動かす運動法です。研究では、慢性的な腰痛、腹筋の持久力、高齢者のバランスで改善が報告されています。一方で、柔軟性や減量については確かめられた範囲が限られています。目的に合わせて、無理のないペースで続けてみてください。
マシンピラティスについては、次の記事で詳しく紹介しています。
GYYMでは、ピラティススタジオを会員にならずに1回から予約できます。
出典
- Pilates Method Alliance「The History of Pilates」
- Encyclopaedia Britannica「Pilates」
- American Family Physician「Pilates for Low Back Pain」(Cochraneレビュー Yamato ほか 2015 の要約)
- Campos ほか(2016)「Effects of the Pilates method on physical fitness of healthy adults: a systematic review」J Sports Med Phys Fitness
- Barker ほか(2015)「Effects of Pilates exercise on balance in older adults」Arch Phys Med Rehabil(McMaster Optimal Aging Portal の要約)
- 国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所ほか「身体活動のメッツ表 成人版 改訂第2版」
- 厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」成人版
- 厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」参考情報:筋力トレーニングについて
(いずれも2026年10月23日確認)
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